[映画]裏切りのサーカス[評価・レビュー]

この記事は約6分で読めます。

 

内容を理解したい!という方のために解説記事を書いたのでこちらも読んでみてください。

最近は仕事が出来るためにはどうすれば良いか?的なことをあれこれ思いついたり試したことから書いているが、休みの日はゆっくり映画を見るのも好きだったりする。

今日は裏切りのサーカスを見た。原作者がイギリスのMI6に在籍していた本物の諜報員だということで原作シリーズも相当人気がある。

今回はその感想を書きたい。

(もぐらが誰だったとか、各人物の関係とかを整理した記事をまた書きます。)

ジャンルはスパイ映画だけど、スパイ物の映画というと007やミッション・インポッシブルのように派手なアクションとカッコイイ主役が躍動する様を楽しむものと、

そういったエンタメ的な要素を配して、調べたり聞いたり交渉することが中心の地味でリアリティがあると感じさせるような作りになっているものの二つに別れていると思う。

「裏切りのサーカス」は間違いなく後者の方で、追いかけっこや殴り合いは全くない。

登場人物が全員紳士的な振る舞いをするし、映像も音楽もとても落ち着いている。喋り方も上品な貴族のようで格調高いとかそんな言葉が合う。

(もぐらに踊らされていた人たちの振る舞いも逆に立ってしまっている)

スパイ映画とは知っていた上でタイトルを初めて見たとき、「サーカス」という単語がついているものだから、

登場人物全員に裏があって互いが互いを裏切り合うような展開を想像していたんだけど(安直)どうやらMI6の通称らしい。

概要

内容を一言で言うと、冷戦時代のサーカス(MI6)の幹部にいるという二重スパイのを探し出す話。

「もぐら」と呼ばれるその二重スパイはサーカス幹部の中に紛れているという情報があった。

サーカスの幹部はコントロールと呼ばれるサーカスチーフの下、ブランド、ヘイドン、スマイリー、アレリン、エスタヘイスの5人存在する。

主人公はハリーポッターのシリウス・ブラックやレオンのスタンを演じたゲイリー・オールドマンが演じるスマイリー。

サーカスチーフはコントロールと呼ぶ習慣で、スマイリーも含めて5人の中にもぐらがいると考えていた。

コントロールとスマイリーは仲が良かったが、二重スパイを探していることはスマイリーには伝えず、

1回見ただけでは理解できない

1回見ただけでは内容が理解できない。登場人物の人間関係や誰がもぐらといったことはわかるが、

たぶん、本当に楽しむべきところはもぐらが誰かといったことを推理をすることではなく、スマイリーが奥さんのアンに対して感じていることや、

スマイリーとコントロール、ギラムと学校の先生、プリドーとヘイドン、スマイリーとカーラ、ローチとプリドーのような種類の違う男同士の関係の中から生まれるややこしい心情を感じることだと思う。

それは後で書くとして、どうして一回ではわからないのかは構成によるところが大きいかと。

  • 登場人物がわからない

初登場のシーンで名前を呼ばない+直接その人物に向けて呼びかけることが少ない。そして名前が呼ばれず、こいつは誰だ?と思っている間に次の新しい人物が現れる。

序盤からそれが続き、後半になってようやくわかってきた頃にはスパイが誰か、どういう推理の材料があったのかを見逃していることが、1回では理解できない理由になっている。

  • シーン転換の工夫

シーンが切り替わる部分の多くで、次の場所の名前を言ったり、電話、ノック、会いにいく部分が描写されてサッと切り替わることが多い。

どういった用件で会いにきたとか、これから何を調べるとかいう話は最初に1回しているので再び描写するのは無駄ではあるけども、

日本でいう「かくかくしかじか」すらもすっ飛ばして次のシーンへ飛んでしまうため、シーンのぶつ切りに感じてしまう。

  • 時系列を分解している

過去と現在のいくつかの場面をバラバラに切り取って流していることも

現在と過去の2場面だけならともかく、いくつかある過去の場面と現在を行ったり来たりするので、今はどの時点の話なのかを類推するのも難しい。

 

そんなこんなで1回見ただけではわかりにくい作りになっているのだと思う。

2回目の鑑賞こそが本番で楽しめる

で、1回見ただけでは理解できないようになっているのは間違いなく意図的だと思う。

正直、最初に見たときは自分のあまりの理解力の無さもたたって、何もわからないまま最後のラ・メールが流れだすので釈然としなかった。

しかし2回目、登場人物と人間関係、物語の核心を知った上でもう一度見てみると気づくことがとても多い。

序盤のうちに全キャラクターがほぼ登場していたり、小道具を使った演出(メガネやヘイドンから送られた絵)、

各人物の言動とその意図、もぐらとその手のひらの上で踊らされていた人物たちの滑稽さ、あとは言葉では表現されない感情(特にスマイリー)などなど。

この辺はネットで検索して解説を読まないと気づくことができなかった。

ギラムが同棲していた学校の教師(たぶん二人はゲイ)が別れるシーンはギラムが慟哭しているし、

もぐらと疑わしき人物の中にスマイリー自身が含まれていたのを知った時は、コントロールに信用されていなかったのかとショックだっただろうし、

少年のローチ君をプリドーが怒って追い返した後のプリドーの表情とか、ヘイドンから送られた絵を見るスマイリーとか、

スマイリーとカーラのもう会うこともないのに互いを意識する関係とか、その全部のシーンでその人物がどう感じているかを想像したら複雑な気持ちになる。

そういう場面がキリがないほど存在する。

だから1回見ただけでは気づかないことが多すぎて意味がわからないという評価に繋がるし、2回目を見て色々なことに気づくことができたら良い作品だと評価になる。

特に傑作と言う人々の中には登場人物の心境がハッキリと示されるのではなくて、表情や仕草などちょっとしたことから「自然と感じられる」ことが好きなのだと思う。

自分もどちらかというとそちらの方が好きではある。だからミッション・インポッシブルも良いけど、「誰よりも狙われた男」の方がより面白いと感じる。

土日月と3連休の日曜日の夜にまったりとした気分で見るのが楽しめそう。

きになるのは構成をどうやって作り上げていったのかということ。シーンの切り替えをはじめとして、一見不親切でなんとか理解が追いつくくらいの構成にしたのは、

実はもっとたくさんのシーンを撮った上で時系列順に並べて、その中から不要な部分・不要とまでもいかないが切り取った部分があり、

過去と現在で時系列を分解して構成したのではないかと思う。パルプ・フィクションに少し似ていると思う。

 

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